自然のふしぎ 地球科学 予備知識なしでOK 読了 約6分

地球の水を全部集めて1つの玉にしたら、どれくらいの大きさになるの?
― 直径はおよそ1400キロ。川と湖の水だけなら、たった56キロです

地球は「水の惑星」と呼ばれ、表面の7割を海がおおっています。ところが、その水を全部すくい集めて1つの玉にすると、地球の横にちょこんと並ぶ小さな粒にしかなりません。海は、とても広いのに、とても薄いのです。

公開:2026.09.23 難易度:★☆☆(予備知識なしで読めます) 数式が出てくるのは最後の折りたたみだけ
まず、こんな場面を思い浮かべてください

地球儀を回すと、目に入るのは青ばかりです。太平洋だけで、陸地を全部合わせたより広いと習った人も多いでしょう。

船で沖に出れば、どちらを向いても水平線まで水です。深いところは1万メートルを超えるとも聞きます。

これだけの水があれば、地球の半分くらいの大きさの玉にはなりそうです。ところが、実際に計算してみると、答えは想像よりずっと小さくなります。

小さくなる理由は2つだけ

1
海は、広いけれど薄い

海の平均の深さは約3.7キロです。地球の半径は約6400キロあります。深さは、半径のわずか1700分の1ほどしかありません。

2
玉にすると、量は「3乗」で縮む

玉の大きさは、中身の量の立方根で決まります。水の量が地球の約780分の1でも、直径にすると約9分の1にしか見えなくなります。

この2つを順に見ていくと、「水の惑星」の本当の姿と、私たちが使える水がどれほど少ないかが見えてきます。

地球の水は、全部で直径およそ1400キロの玉になる

米国地質調査所の見積もりでは、地球にある水は全部で約13億8600万立方キロメートルとされています。海の水、氷河、地下水、湖や川、空気中の水蒸気、生き物の体の中の水まで、すべて含めた量です。

これを1つの玉にまとめると、直径はおよそ1385キロになります。地球の直径は約1万2700キロなので、その9分の1ほどです。月の直径(約3500キロ)と比べても、4割くらいしかありません。

図1の左を見てください。大きな円が地球で、右に並んだ小さな玉が、地球のすべての水です。同じ縮尺で描くと、これだけの差があります。

同じ縮尺で並べると 地球(直径 約1万2742キロ) すべての水 直径 約1385キロ 液体の淡水 直径 約273キロ 湖と川の水 直径 約56キロ 直径30センチの地球儀にすると 岩石の地球 海の平均の深さ = 約0.09ミリ (コピー用紙1枚ほどの厚さ) 実際の海は、表面の青い線よりずっと薄い
図1:左は地球と、地球の水を1つの玉に集めたものを同じ縮尺で並べた図です。上から順に「すべての水」「液体の淡水」「湖と川の水」で、いちばん下は点線の円の中心にある点より小さくなります。右は、地球を直径30センチの地球儀にしたときの海の厚さです。矢印の先の細い線でさえ、実際の海より太く描かれています。

地球儀にすると、海は紙1枚の厚さしかない

海が薄いことは、地球儀で考えると実感できます。直径30センチの地球儀なら、中心から表面までは15センチです。この縮尺で海の平均の深さを表すと、約0.09ミリになります。

これは、コピー用紙1枚の厚さとほぼ同じです。いちばん深いマリアナ海溝でも、約0.26ミリにすぎません。地球儀の表面をなでたとき、指先に水を感じるかどうかという薄さです(図1の右)。

海が広く見えるのは、表面をぐるりとおおっているからです。量を決めるのは「広さ×深さ」なので、どれほど広くても、深さがこれだけ薄ければ全体の量は小さくなります。

さらに、玉にしたときの大きさは、量の立方根で決まります。量が1000分の1なら、直径は10分の1です。地球の水は、地球全体の体積の約780分の1なので、直径にすると約9分の1になります。縮み方が穏やかに見えるぶん、「思ったより大きい」とも「思ったより小さい」とも感じる、不思議な数字です。

💡 私たちが使える水は、直径56キロの粒

すべての水のうち、約97%は海の塩水です。残りの淡水も、大半は南極やグリーンランドの氷と、深い地下水です。湖と川の水を集めると、直径およそ56キロの玉にしかなりません。私たちが毎日の暮らしで使う水は、この小さな粒から、雨と蒸発のくり返しで絶えず補われています。

💡 重さでくらべると、もっと小さい

水は岩や鉄より軽いので、重さでくらべると差はさらに開きます。地球の水をすべて合わせても、地球全体の重さの約0.02%とされています。地球は「水の惑星」というより、「うすく水をかぶった岩の玉」なのです。

まとめ

地球の水を全部集めても、直径およそ1400キロの玉にしかなりません。海は表面の7割をおおっていますが、深さは地球の半径の約1700分の1です。さらに、玉の大きさは量の立方根で決まるため、直径にすると地球の約9分の1になります。川と湖の水だけなら、直径56キロです。

海は、広いのではなく「薄く広がっている」。
私たちの水は、地球の表面にかかった一枚の膜です。

海がしょっぱい理由は「海の水はなぜしょっぱいの?」で、薄い海の底でも水が生き物を押しつぶす力については「深海の生き物は、なぜあの水圧に耐えられるの?」で解説しています。小さな体積に重さが詰まった極端な例は中性子星の記事もどうぞ。

🧪 台所で「3乗の縮み」を確かめてみよう
  1. みかんを1個用意します。直径7センチほどのみかんの体積は、およそ200ミリリットルです。これを「地球」とします。
  2. その約780分の1にあたる、およそ0.25ミリリットルの水を用意します。スポイトやストローの先で5滴ほどです。これが「地球の水」です。
  3. 5滴を1か所に集めるようにラップの上へ落とすと、ほぼ丸い水玉になります。みかんの横に並べて、大きさをくらべてみましょう。

量では780分の1なのに、水玉の直径は1センチ弱で、みかんの9分の1ほどです。「量」と「長さ」の感覚がずれるのは、体積が長さの3乗で増えるからです。

もっと知りたい人へ ― 用語・数式・教科書とのつながり中学理科から大学の専門科目まで、どのレベルの話かを明示しています
この先に出てくるラベルの見方
  • 中学中学校の理科・数学で習う範囲
  • 高校高校の「地学」「数学」で習う範囲
  • 高校+高校の発展、または教科書のコラム扱いの内容
  • 大学高校では習わない、大学の専門科目(水文学・地球化学)の内容
  • 研究大学でも「定説」として教わらない、いま研究者が調べている最中の話

中学用語:この現象には名前があります

中学高校式で確かめる:水の玉の直径と、海の薄さ

球の体積の式を逆に使うと、水の量から玉の直径が出せます。主題である「水の玉の直径」そのものを計算し、地球の直径とくらべます。

⓪ もとになる式
記号で書くとV = (π ÷ 6) × d³ より d = ∛( 6 × V ÷ π )
言葉で書くと玉の直径 = 「6 × 水の体積 ÷ 円周率」の立方根
どこから来る式か球の体積の公式(体積 = 4/3 × 円周率 × 半径の3乗)を、直径で書き直して逆に解いたもの。水の量は形を変えても保存されるので、海に広がっていても玉に集めても同じ体積になる
記号意味と単位
V水の体積(立方キロメートル)
d水を集めた玉の直径(キロメートル)
π円周率(約3.14)
① もとになる数値
地球の水の総量(米国地質調査所)約13.86億 km³
湖と川の淡水の量(同)約9万3113 km³
地球の平均半径約6371 km
海の平均の深さ約3.7 km
② 計算してみる
6 × 水の体積(億 km³)6 × 13.86 = 83.16
それを円周率で割る83.16 ÷ 3.14 ≒ 26.48
その立方根が直径26.48億の立方根は およそ 1384 km とされます
地球の直径6371 × 2 = 12742
地球と水の玉の直径の比12742 ÷ 1384 ≒ 9.2
湖と川の水:6 × 体積6 × 93113 = 558678
それを円周率で割る558678 ÷ 3.14 ≒ 177924
その立方根が直径177924の立方根は およそ 56.2 km とされます
海の深さ ÷ 地球の半径3.7 ÷ 6371 ≒ 0.00058
地球儀(半径150ミリ)での海の厚さ150 × 0.00058 ≒ 0.087

すべての水の玉は直径約1384キロで、地球の約9分の1です。湖と川の水は直径約56キロ。地球儀の上の海は約0.09ミリで、コピー用紙1枚の厚さとほぼ同じです。

高校高校+水はどこに、どれだけあるのか

高校地学では、地球の水の分布を「水圏」として学びます。海水が約97%、淡水が約2.5%で、淡水のうち約7割は南極やグリーンランドの氷床・氷河、約3割が地下水とされます。湖・川・沼などの地表水は、淡水全体の1%にも届きません。

高校+量が少ない場所の水ほど、速く入れかわります。大気中の水蒸気は、平均して10日前後で雨として落ち、入れかわるとされています。一方、海の水が一巡するには数千年かかると考えられています。川と湖の水が少ないのに枯れないのは、この速い入れかわりのおかげです。

大学水文学:水収支と滞留時間

地球上の水の量と流れを扱う分野を水文学といいます。各貯留場所(海・氷床・地下水・大気など)の出入りをつり合わせる水収支の式と、「貯留量 ÷ 出入りの流量」で求める滞留時間が基本の道具です。世界の水の分布表は、旧ソ連の水文学者シクロマノフらが1990年代にまとめた見積もりが広く使われており、米国地質調査所の数値もこれにもとづいています。

📖 式の導出や、さらに先の内容:水循環(ウィキペディア)米国地質調査所「地球にはどれだけ水があるか」(英語)

研究まだはっきりとはわかっていないこと

つまりこの記事の内容も、「いまわかっている範囲での説明」です。地表の水の量は精度よく見積もられていますが、地球の奥の水まで含めると、答えは変わるかもしれません。

教科書とのつながり(レベル別)

レベル科目・単元この記事のどこ
中学数学「相似な図形」、理科「天気の変化(水の循環)」量が780分の1でも直径は9分の1になる理由
高校地学基礎「地球の水圏」海水・氷・地下水の割合
高校+地学「水の循環と滞留」大気の水が10日前後で入れかわる話
大学水文学・地球化学水収支と滞留時間
研究惑星科学・地球深部科学マントルの水、地球の水の起源
生活とのつながり私たちが使える水は、直径56キロの粒から絶えず補われている
参考・出典
  1. U.S. Geological Survey, "How Much Water is There on Earth?"(Water Science School)
  2. アメリカ航空宇宙局・地球のデータ集(質量・平均密度・半径)
  3. Shiklomanov, I. A. (1993). World fresh water resources. In P. H. Gleick (Ed.), Water in Crisis: A Guide to the World's Fresh Water Resources. Oxford University Press.
  4. 国立天文台 編『理科年表』丸善出版(地球の大きさ・海洋の深さ)

※本記事は一般向けの科学解説です。掲載した数値は、しくみを理解するための目安・概算です。水の総量や分布の数値は見積もりであり、資料によって多少異なります。